スマートフォン向けアプリ導入の経緯
Q 従来の携帯電話向けサービスに加えて、スマートフォン向けアプリを開発した背景と目的を教えてください。
DecorationStudioは、動画に対してデコレーションを楽しんでいただくサービスです。当初は「カメラが実装されていて、通信手段がある」最も身近なツールという点から、携帯電話向けにサービスを投入しました。しかしユーザーのみなさまから「自分で自由に素材を組み合わせてデコレーションしたい」という要望が多く寄せられたこともあって、スマートフォンならではのユーザビリティを活かしたアプリを開発しようという運びとなりました。その背景には、スマートフォンの市場が予想以上の速さで拡大したことがありますね。弊社では従来からAndroid関連に力を入れておりますが、iPhoneを中心にスマートフォンがこれほどのスピードで普及するとは思っていませんでした。そこで本来はもう一年先に提供する計画だったものを、前倒しで投入することになりました。
今回のアプリ企画について
Q 携帯電話向けでは実現できず、今回のスマートフォン向けアプリで実現が可能となった機能やサービスはありますか?
携帯電話向けでは、サンプルのムービーを見てイメージをつかんだ上で、デザインを選んでいただき、動画を送るとデコレーションされた動画が返送されてくるという方式でした。スマートフォンでは、画面の大きさ、画面を直接タッチする操作性を活かして、利用者自身が自分で画面をタップしながら、デコレーション用フレームやメッセージ素材を自由に選んで作成できるようにしました。そこが一番の違いになります。Q 逆に、携帯電話向けには装備されていて、スマートフォン向けには装備されていない機能はありますか?
DecorationStudioには「動きを検出して、それに連動してデコレーション素材を表示する」という特徴的な機能があるのですが、スマートフォン向けの初期配布版には、まだその機能がついていません。今後のアップデートの中でご提供していきたいと考えています。開発経緯について
Q iPhoneアプリとAndroidアプリを同時に開発したのは、どういう経緯からだったのでしょうか?
弊社ではandronavi(アンドロナビ)というAndroidアプリのマーケットプレイスを運営していたり、Androidを搭載したタブレット型端末の開発をしております。また、NECグループ全体としてもAndroidOSを機器に組み込むソリューションを企業様向けにご提案するなど、社内的には「Androidアプリを開発するのは当然」という雰囲気でした。しかしユーザー数ではiPhoneの方が圧倒的に多いですから、iPhoneアプリも絶対に必要だということになり、両方を同時に開発することになりました。Q iPhoneアプリとAndroidアプリとでは、制作する際に違いがあるのでしょうか?
全然違いますね。iPhoneは「Apple社が出している家電品」というイメージですが、それに対してAndroidは、Google社が提供しているOSでしかないんですね。そのため、端末を作るメーカーによって使用するOSのバージョンも違うし、画面のサイズも違う。つまり、仕様においてあらゆる点が違ってきます。ですから今後、機種依存が発生しそうだなという予感がありますね。新しい端末が登場するたびに、1機種ずつ作り込まなくてはならないという点がAndroidアプリの難しいところではないかなと思います。実際、DecorationStudioでも「次に発売されるAndroid端末への対応をどうするか?」ということがすでに課題となっています。今後Android端末を投入されていくベンダー・キャリアの動きに注目しています。 逆に、iPhoneの方がApple社のレギュレーションは厳しいなと感じました。たとえば、ユーザーのみなさまからは「デコレーション用のフレームを表示した状態で、動画を撮影できるようにしてほしい」という要望が多かったので、当初はそれを実現出来る方式を採用する予定だったのですが、Apple社のレギュレーションで審査を通過しない可能性が高かったために「動画を撮影した後に、デコレーションをする」という方式にシフトしたという経緯があります。しかし、端末への対応に関しては、iPhoneはラクですね。それに利用者の多さも魅力です。Androidは端末の種類は多いけれど、集めないと大きな規模にはならないので、いかに対応端末を増やしていくかが大きな課題だと思います。Q 企画・開発する上で、妥協したくなかった点はどんなところですか?
デコレーション素材を自由自在に組み合わせられるという点は妥協したくなかったですね。また動画にデコレーションすることの楽しさや、作成手順のわかりやすさを重視して、シンプルでカジュアルな操作性となるように心がけました。その結果、今回は「動画を撮って、デコレーションして、ダウンロードする」という3ステップで動画をデコレーションできる形としました。Q 苦労した点はどんなところですか?
開発期間が短かったことですね。本当は次年度に投入するつもりだったのですが、役員に提言を行ったところ「いいんじゃない。今年度中にやったら?」と言われてしまい、約2か月で開発しなくてはならなくなってしまったんです。もっとも、そのおかげで早期に投入できたので、結果的にはよかったなと思っていますが。発表後の反響と今後について
Q リリース後の反響はいかがですか?
2010年6月30日のリリースから約1ヶ月経とうとしていますが、おかげさまでiPhoneアプリは2.4万ダウンロード(2010年7月26日時点)という実績になっています。今後は、機能拡張やキラーコンテンツになりうるデコレーション素材も続々と投入を予定していますので、もっとダウンロード数が増えていくことを期待しています。 また今回、世界に向けてDecorationStudioというサービスを展開出来たおかげで、アメリカでは新しいサービスとして受け止めてくださり、新たな商談につながる可能性が出てきました。スマートフォンの場合は、「海外でどう展開していけるか?」が今後のチャレンジだと感じています。Q iPhoneアプリやAndroidアプリの今後の可能性をどのようにお考えですか?
今後、ますます高まっていくと思います。従来の携帯電話利用者の約3割がiアプリを使用されていると言われているのですが、現在、このユーザーがスマートフォンに移行してiPhoneアプリやAndroidアプリを使っていらっしゃると考えられます。これからもどんどん流入してくると予想されますから、少なくとも現在の携帯電話と同程度の市場規模になるでしょうし、さらに海外の市場も加わるので、非常に魅力的なマーケットだと思います。 また、Apple社のような会社が間に入ることで、海外で効率的にビジネスができるようになったのはありがたいですね。従来は現地に行って、現地のキャリアと個々に契約を結ぶことが必要だったうえに、国ごとにいろいろな制限があるため、自分達で海外ビジネスを展開するのは大きな手間とコストがかかりました。ところがiPhoneアプリなら、約90か国に一気に配信できます。低コストでラクに海外展開ができるようになったので、弊社でも今後はスマートフォンに事業の軸足を移していくことになるのではないかと思っています。Q 今後の改善点や、バージョンアップの予定などについてお聞かせください。
iPhoneアプリの機能強化として、先ほど述べたような「動き検出」の機能を追加する予定です。それから初期配布版では、フレーム、メッセージ、シールを合わせて100素材を用意していますが、今後、デコレーション素材の数もバリエーションも増やしていきたいと考えています。また、YouTubeやFacebookなどのSNSにワンタッチで上げられる機能も実装したいですね。さらに、セピアやモノクロに加工したり、背景を入れられるようにするなどの機能も検討していきたいと思っています。 ユーザー向けにはプレミアムなデコレーション素材の有償販売も計画しています。また、企業様向けにはジャック広告を表示する広告ビジネスのほかに、今回弊社で制作させていただいたiPhoneアプリをベースに、企業様ごとにカスタマイズを加えてオリジナルのiPhoneアプリを安価かつスピーディに制作できるというライセンスビジネスも検討しており、すでに具体的に進んでいる商談もあります。 いずれにしても、できるだけ多くのみなさまにご利用いただき、DecorationStudioの可能性を広げていきたいと思っています。どうもありがとうございました。
NECビッグローブ株式会社
ビジネスサービス事業部 Webインテグレーション部 インキュベーショングループ プランナー
保永 由美
早稲田大学大学院国際情報通信研究科を修了後、2004年NEC(日本電気株式会社)に入社。配属後はNTTドコモのネットワークシステムやコンテンツビジネス等で営業を担当し、2007年NECビッグローブに出向。Webプロデューサーを経て、現在はプランナーとしてインターネットサービスの新規ビジネス企画、立ち上げに従事。